国(総務省)の5G推進態勢

 日本の政府(担当は総務省)は、「有識者」で構成する審議会、検討会、及びそれらの下部組織において、5Gの技術的条件や、5G電波の人体影響への評価・対策などを、審議・検討させ、それらの報告(答申)に基づいて、5Gに係る法律案・政省令の策定、政策決定を行っています。
 関係する審議会、検討会、及びそれらの下部組織を、図にしてみました。

 5Gを推進する「新世代モバイル通信システム委員会」の構成員は、5Gによるビジネスを展開する当事者である携帯電話事業者や電機メーカーが多くを占めています。消費者側(と言えるかどうか微妙ですが)は、国民生活センターから1名が参加しているのみです。産業側の都合や考え方が優先された審議が行われることが容易に想像できる構成です。
 5Gの電波の安全性について検討する「電波利用環境委員会」は、工学系の研究者が多くを占めています。ヒトへの安全性を検討するにもかかわらず、医学系の研究者は1名だけです。また、消費者側としては全国消費生活相談員協会から1名参加しているのみで、しかも電磁波による健康影響について詳しい方ではなさそうです。

 また、5Gを推進する「新世代モバイル通信システム委員会」と、5Gの電波の安全性について検討する「電波利用環境委員会」が、ともに、同じ「総務省」の「情報通信審議会」の下の「情報通信技術分科会」の下に置かれています。推進側に対して、安全というブレーキが十分に働くのか懸念を持たざるを得ない態勢です。

5Gの技術的条件について

情報通信審議会
根拠法令:総務省組織令第121条
所掌事務:総務大臣の諮問に応じて、情報の電磁的流通及び電波の利用に関する政策に関する重要事項を調査審議し、総務大臣に意見を述べること、郵政事業及び郵便認証司に関する重要事項を調査審議し、関係各大臣に意見を述べること
庶務担当部局課:総務省 情報流通行政局 総務課 総合通信管理室
「新世代モバイル通信システムの技術的条件」のうち「第5世代移動通信システム(5G)の技術的条件」について総務大臣へ一部答申(2018/7/31)
             
    情報通信技術分科会
根拠法令:情報通信審議会令第5条
調査事項:審議会の所掌事務のうち、情報の電磁的流通及び電波の利用の技術に関する政策に関する重要事項を調査審議することをつかさどる
新世代モバイル通信システム委員会がまとめた答申案を了承(2018/7/31)
   
             
        新世代モバイル通信システム委員会
調査事項:情報通信審議会諮問第 2038 号「新世代モバイル通信システムの技術的条件」について調査を行う
構成員:大学工学系研究者、携帯電話事業者、大手電機メーカー、電波産業会、国民生活センターなど
事務局:総務省 総合通信基盤局 電波部 移動通信課
技術的条件についての報告(答申案)をとりまとめ(2018/7/23)
       
             
            基本コンセプト作業班
           
             
            技術検討作業班
           
             
            ワイヤレスIoTアドホックグループ
           
             
            ローカル5G検討作業班
           

5G電波の健康影響について

生体電磁環境に関する検討会
位置づけ:総務省総合通信基盤局長の検討会
目的:
電波による人体への影響に関する国内外の研究成果を評価・分析し、我が国が取り組むべき研究課題を抽出することにより、研究を促進するとともに、電波防護指針の評価・検証を行うことにより、国民が安心して安全に電波を利用できる社会を構築すること
検討項目:
(1) 電波による人体への影響に関する国内外の研究結果の評価・分析
(2) 電波による人体への影響に関して我が国が取り組むべき研究課題の抽出
(3) 電波防護指針の評価・検証
(4) その他関連する事項
事務:総務省 総合通信基盤局 電波部 電波環境課
先進的な無線システムに関するワーキンググループ報告書(案)を了承(2018/1/19)
     
    先進的な無線システムに関するワーキンググループ
目的:近年、中間周波数帯を用いるワイヤレス電力伝送(WPT)、超高周波帯を用いる超高速無線 LAN や第 5世代移動通信サービス(5G)等のこれまでにない新たな電波利用システムの実用化・普及に向けた取組が国内外で急速に進展している。一方で、これらの周波数帯や新たな利用形態については生体等への影響に関する科学的な知見の蓄積が十分には進んでいないため、電波防護指針や適合性評価方法に関して、詳細な検証を行うとともに、最新の科学的知見の反映が急務となっており、生体電磁環境に関する検討会の下に先進的な無線システムに関するワーキンググループを設置し、情報通信審議会電波利用環境委員会における検討を開始するにあたり必要となる基礎的な検討を行うこととする
報告書(案)をとりまとめ(2018/1/12)
   

 

情報通信審議会
「電波防護指針」の改定案を総務大臣に答申(2018/9/12)
「携帯電話端末等の電力密度による評価方法」のうち「携帯電話端末等の電力密度の測定方法等」に関する一部答申(2018/12/12)

             
   

情報通信技術分科会
5Gに対応した電波防護指針改定案(答申案)を了承(2018/9/12)
携帯電話端末等の電力密度による評価方法(6GHz以上)案(答申案)を了承(2018/12/12)

   
             
        電波利用環境委員会
審議事項:諮問事項に基づき、電磁波が電子機器や人体に及ぼす影響
に関する事項を審議する
事務局:総務省 総合通信基盤局 電波部 電波環境課
構成員:大学工学系研究者、電気関係研究所研究者、大学医学系研究者、携帯電話事業者、全国消費生活相談員協会など
5Gに対応した電波防護指針改定案(答申案)をとりまとめ(2018/9/6)
携帯電話端末等の電力密度による評価方法(6GHz以上)案(答申案)をとりまとめ(2018/12/12)
       
             
            電波防護指針の在り方に関する検討作業班
検討事項:
 第5世代移動通信システム(5G)に関し、今まで人体の近傍で用いられていなかった高い周波数帯(6GHz以上)が使われることになる。また、現在、電波ばく露からの人体防護に関する国際非電離放射線防護委員会の高周波領域のガイドライン改定作業が進められている。これらを受け、総務省総合通信基盤局長の検討会である「生体電磁環境に関する検討会」において、最新の研究動向及び国際ガイドラインを踏まえた、高周波における電波防護指針の在り方についての検討の必要性が提言されているところ。
 上記に鑑み、高周波における電波防護指針の在り方について検討を開始するものである。
5Gに対応した電波防護指針改定案(答申案)をとりまとめ(2018/7/10)
           
             
            電力密度評価方法作業班
検討事項:
(1)5Gの携帯電話端末等(6GHz以上)の電力密度による評価方法
(2)電力密度と比吸収率をそれぞれ指針値とする複数周波数による電力密度の評価方法等
携帯電話端末等の電力密度による評価方法(6GHz以上)報告書案(答申案)をとりまとめ(2018/10/15)
           
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